【薬剤師×HIV】薬を飲み忘れたらどうなるの?

薬剤師×HIV

抗HIV薬は飲み忘れないことを他分野以上に求められているような感覚があります。

他疾患でも医師は患者さんがきちんと薬を飲んでいると仮定して採血結果や所見等を評価するため、医師が調節してよいなど言っていない限りは患者さんにも飲んでもらえるように薬剤師は工夫する必要があります。

今回は、抗HIV薬を飲み忘れるとどうなるのか、飲み忘れを防ぐにはどうすればよいのか考えてみたいと思います。

服薬率と治療成功率

現在の医療では、HIVを体内から完全に排除することは困難です(海外では移植により完治した症例の報告はあります。)。

そのため、HIV感染者は体の中でHIVが増えないように一生薬を飲み続ける必要があります。

しかも、飲み忘れは抗HIV薬に対する耐性ウイルスを生み出す原因となり、結果的には副作用の多い薬や複数の錠剤を飲まないといけなくなるため、患者さんには大きな負担となります。

しかし、HIV感染症はこれまで薬を飲んだことのない若年者も多い疾患です。

患者さんからすれば、「どれくらい飲み忘れることは許されるの?」という疑問が沸くのは当然のことです。

では、ガイドラインに記載のある服薬率と治療成功率の関係についてみてみましょう。

Paterson et al. Ann Intern Med. 133:21.2000
30日間 の服用1回飲み忘れ2回飲み忘れ3回飲み忘れ4回飲み忘れ
1日1回服用の場合96.7%93.3%90.0%86.7%
1日2回服用の場合98.3%96.7%95.0%93.3%

95%以上内服できていれば治療成功率は80%程度。95%を下回ると治療成功率大きく下がることが分かります。

現在主流の1日1回1錠の薬(ビクタルビ、トリーメクなど)で考えると30日間の服用で1回忘れるのみであれば95%以上の内服率となりますが、2回忘れると95%を下回ることになります。

これはこれから薬を飲み始める人にとってはとても衝撃な情報です。

しかし、それだけ飲み忘れをなくすことが重要であることは知っておいてもらう必要があります。

飲み忘れ対策

では、飲み忘れないためにはどうすればよいのでしょうか。

色々な服薬支援アプリも出ていますし、一般的な飲み忘れ防止策について紹介します。

ピルケース

一番有名なのはピルケースでしょうか。100均でも購入することができます。

1週間用で朝昼夕就寝前と分かれているピルケースをイメージするかもしれませんが、

抗HIV薬のみしか内服していない人におすすめな道具としては1錠用のキーホルダータイプのピルケースがあります。

外出先で飲み忘れることを防ぐために常に持ち歩くことをおススメしています。

服薬カレンダー

服薬カレンダーは飲んだかどうか分からなくなる方、薬の量が多く一包化しているような人におすすめです。

服薬支援アプリ

服薬支援アプリは多くのチェーン薬局などが作製しており、スマホで管理できるお薬手帳なども準備されています。

日本調剤やココカラファイン、アインなどがスマホでのお薬手帳アプリを作っているので、普段から荷物は最小限にしているような人で紙のお薬手帳が煩わしい人はぜひ使ってみてください。

せるまね

HIVに特化したアプリとしては中四国エイズセンターが作っている「せるまね」があります。

受診日や服薬忘れを教えてくれるアラームや自立支援の更新時期まで登録することができ、様々な情報が盛り込まれたアプリです。

服薬を続けることで花を育てることもできる工夫もされており、抗HIV薬の飲み忘れに悩んでいる方にはぜひ使ってみて欲しいですね。

せるまね(中四国エイズセンターHP)

参考

・抗HIV治療ガイドライン(2020年3月版)

・中四国エイズセンターHP

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